もろもろの好きについて

ふきでもののような人間が舞台の感想を書いたりします ※2018.10 King&Princeの岸優太くんに嵌りました→2019.5 Travis Japan勉強中です→2020.8 Aぇ!groupも最高やん…

「墓場、女子高生」

 ベッド&メイキングス第4回公演「墓場、女子高生」7月23日夜@シアターイース

 後味は、泣きはらした後のほろ苦い爽快感に似ている。第3回公演のテント芝居で雷に打たれてから1年、これからも必ず観たい劇団だと確信。

以下、ネタバレ有感想。

物語の舞台は、学校の裏手にある墓場。墓場で今日も授業をさぼっている女子高生たち。そこには、1年前に自ら命を絶った友人・日野の墓が建っている。
しかし、彼女たちはそのことには触れようとしない。心の片隅に悲しみを隠して、彼女たちは今日もはしゃぐのだ。そんな日々の中、仲間の一人がある提案をする……。人は、人を生き返らせる権利があるのか?残された人間は、何をもって死者との関係に区切りをつけるのか?

http://enterstage.jp/news/2015/06/002845.html

 もういっそ軽々しく言うが、素晴らしくて(!)終始鼻の奥がツーンとしていたわけだけど、始めに目を潤ませた要因は“女子高生のニオイ”だった。…あのニオイ、私知ってる。恋愛に揉めて、性に悩んで、走って、歌って、酒も飲む。自分の高校生活とはかけ離れているのに、自分の中に彼女たちの気配を感じる。高校時代の瑞々しい馬鹿馬鹿しさ、ああ、きっと私もこうだった。今になってみればどうでもいいようなちっぽけな悩み事も、世界を覆い尽くすような大事だった。知らなすぎるのに考えすぎる、はち切れんばかりの小世界、そのニオイを、なんであんなに再現できるのだろう!さらに、その中で女子高生それぞれのキャラクターと彼女らの関係性がくっきり見える。例えば、ひとりひとり違うあだ名で日野を呼ぶの、巧い。キャラクターがビビッドに立ち上がっているから、死者蘇生のトンデモ展開だろうと主題への切実さは保たれる。素敵な女優さんが集まるなか、特に日野役の清水葉月さんの旨味がたまらんかったです。遠くを見透かすような視線と声色に、ふわっとした愛嬌。わたしも一緒に歌いたくなった。ビンゼを合唱部へ勧誘するシーンや、世の中は腐っているのか?と尋ねるニッシーに答える日野がとても魅力的。そうそう、ネモシュー演じるニッシーの一生懸命な不器用さも愛おしかったなぁ。

 私が話を逸らしましたが、テーマは「死者との決別」。物語後半では、各々の心が日野の死に立ち戻る。ニッシーの「生き返らせようと思う!!」をきっかけに、言葉が飛び交う。死をちゃんと整理できたのか、でも忘れちゃいけないことじゃないのか、いやそれは結局自分のためでしょ?さらには自殺の原因は自分にあるのではないかと考える。日野の死に各々わだかまりを抱える一方、生き返った日野は生に未練はなく彼女らには無関係だと言い放つ。「いつでも思い出し笑いできるような出来事が、確かにいくつもあったけど、みんなのせいで死ななきゃいけないほど、仲良くはなかったよ」結局自殺の理由は明かさないが、その代わりに美しい理由を考えてほしいと持ちかける。腐った世の中を美しく置き換える力が必要だ、と。理由を連ねた後、日野はもう一度死を選ぶ…

 はじめ、墓場とセーラー服とはなんて不釣り合いな組み合わせなのだろうと思っていた。でも、死との距離に年齢は関係ないんだよな。皆、死を共有している。ただ、個人の死は共有できない。この作品では、他人の死を「(私が)悲しい」「(私が)残念」という地点から、もうちょっと広い世界へ連れて行ってくれる。ラストシーンで、生きていても忘れちゃったら死んだも同然だねと言うように、生と死は“対立”ではなく“境界”だと気づく。人間と幽霊(=生と死)、女子高生と大人*1をも単なる対立として描かず、同じ地平に立たせる度量だ。ブラボー。

 「墓場、女子高生」観られて良かった~!という喜びで、今もまた目が潤む。そして演劇をもっと好きになった。宝箱にしまいたい台詞にたくさん出会った。いや~しかし、暗転時の音楽や笑いのツボ*2もいちいち好みで、いちいち気持ちよかったぜ。それと、B&Mは当パンに挨拶や今後の出演情報を載せてくれるのでメチャクチャ嬉しい。ほんで今城さんのデザインが可愛い。手を掛ける部分が賢いところも、B&Mを好きな理由のひとつである。ところで、物販のパンフレットと台本を買い損ねた悔しさは次の再演時に晴らしてやるぞ。

*1:大人たちも良い味を出していて最高だったのです

*2:笑のツボが合う作品はとても居心地が良い。オカルト部に入りたい。